2012年2月1日水曜日

心を上手に透視する方法


◎書籍情報
心を上手に透視する方法
トルステン・ハーフェナー著 福原美穂子訳
サンマーク出版(2011-08-30)
ISBN978-4-7631-3154-6

◎思ったこと
まず、私はこの本を書店でたまたま見かけて、
買う予定もなかったのに即購入したのだが
別段人の心を透視したいと思っているわけではない。
この本の原題はわからないが、題だけ読んでハウツー本だと思い
購入した人なら「だまされた」「つまらなかった」「あたりまえのこと」と
感じることもあるだろう。
実際、ツイッターやブクログを見ていても主観で感じたことではあるが
そう思われている方も多いようだ。

とはいえ、ちゃんと目次を見れば論点は
内(自分自身)→外(相手のこと)→内(自分自身)
となっていることはわかる。
つまり、本書の言いたいことは相手の心を透視する方法論などではない。
それはあくまで心と身体の密接な関係を読者に納得させるための例にすぎないのであって
実際は周りに注意を凝らし、心の制約を解き放つことで可能性は広がるという
視点の変え方、気の持ち方を解説している本であると想像できる。
少なくとも私はそっちを期待した。

著者のトルステン・ハーフェナーという人は日本では知名度は高くない。
というよりも無名だ。
検索してみても本書の著者であるということ以外の情報はない。
何よりドイツの人であり、私にいたってはドイツ語は(も)わからないので
Youtubeで調べて、実際のショーを見てみようとも思わなかった。
そういう人がいるらしい、という本書から得た認識だけだ。
恐らく、日本だけでなく他の国でもそうなのではと思う。

だが、結果的に本書は本国ドイツでは35万部(これはともかくとしても)、
世界10カ国で翻訳され日本でも10万部を超えているらしい。
つまり内容は悪くないのだろうし、それだけ人々の潜在的な興味を引くタイトルなのだろう。


結果を言うと、私は本書に非常に満足している。
周りをよく見るということについて、気の持ちようについて。
何よりその可能性について教えてもらった。
いつもなら内容にふれるのだが、今は内容に触れるつもりはない。

訳者後書きによるとこの本の翻訳の話を受けたのが2011年3月。
その後、東日本大震災が起き、訳者自身も
「このようななかで私がこれから訳すこの本は、震災後の日本の読者に受け入れられるのだろうか?」と最初は考えていたようだ。
だが、訳すうちに「この本はきっと日本の読者を元気づけるに違いないと確信するようになった」と書かれている。読者である私もそう思う。

私は幸運にも震災の影響がなかった地域に住んでいる。
何か出来ることはないだろうかと考えつつも安穏と日々を過ごしているし
特に何もしていない。
悲痛な叫びを聞きたいかと言われたら私は正直聞きたくない。
今も避難している方々の気持ちも少しはわかってあげたいけれど実感もない。
そうした矛盾が本音だ。
それが私だけだとは自分でも思わない。
とはいえ、実際の被害者の方たちはマスメディアが報じるほどに悲観的なのだろうか。
悲劇であるとは言えるし、何より周りは悲劇をあおり立てるが、
実際の被災者の方達は強くたくましく前を見て生きておられるのではないだろうか。
これが個人の希望的観測であることは重々承知しているが
そういった人たちが頑張っているであろうからこそ周りも前を向いていかなければと思う。
どこかの国の国会のように脚の引っ張り合いをしている場合ではない。
そういう点で本書はこう言う。
”私たちには変えられないこともたくさんあるが、刺激に対してポジティブに反応するという選択肢は必ず存在するのだ(P46)"
起こったことは変えられない。
天災から、日々の些細なことまで。
でも、それについて
”状況を変えることは出来なかったが、僕自身がどう反応するかだけは変えることができた(P48)”
この一言に尽きると思う。

本書内でも触れられるが、著者は若い頃に兄と親友を一人なくしている。
親友に渡すつもりで渡せなかった誕生日プレゼントをずっと手元にもっているらしい。
震災で同じ状況になってしまった人もいるのではないだろうか。
だからこそ、明日や昨日を語るのはよいがまず今現在である。
"本当の力は今この瞬間にあるのであり、昨日はなく明日にもないのだ(P265)"
うれしいことをしてもらったらすぐにお礼を言う。
傷つけてしまったらすぐに謝る。
言わなくてもわかるなどということは自己中心的な考え方であると思っている。
わかっていたことではあるが、なかなか実践は難しい。
でも、"チャンスの中にはたった一回しかないものもある(P264)"からこそ
今この瞬間に伝えられることは伝えていこうと思っているし、
出来ることはやりたいと思う。

最後に、良い本でした。
私自身は当てはまらないと思っているけれどネガティブになってしまう方に
特にお勧めです。

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