2011年12月8日木曜日

三色ボールペン情報活用術

◎書籍情報
三色ボールペン情報活用術
斉藤孝著
角川ONEテーマ21(2003-6-10)
ISBN4-04-704135-1

◎手に取った理由
読んだ本、情報をどうやって頭に残すかを考えている。
斉藤孝氏の三色ボールペン法に関する著作は
ベストセラーになっていた記憶があったため
読んでみた。

その後、このBlogに書かねばと考えつつ
一ヶ月ほど自分の中で温めていたが
「知的生産の技術」「思考の整理学」という本を読んで
再読してみることにした。

◎思うこと
最初に触れておきたいことは
「知的生産の技術」との関係である。
上記したように本書の方を先に読んでいたため
最初に読んだ時はわからなかったが、両著を読んだ後に
再度本書を読み返してみると色々意識していたり、影響を受けているのではと
思われるところがあることに気付く。


まず、後記した目次から見られるように
本著では最初に「整理法」について否定している。
そして「整理法」の例としてカード作成を挙げており、
著者もかつてはカード作成を行ったが作るだけで満足してしまい
役に立たなかったと述べてある。
もちろん「整理法」「カード作成」共に様々な著作で紹介された人気の方法であり、
多くの亜流が世に出ていることは私自身も知っている。
しかし、京大式カードを世に出し、カードの使い方を世に広めた源流は
発表年からしても「知的生産の技術」であると私は考えている。
とはいえ、著者自身もカード法を完全に否定しているわけではないことも触れておこう。
適している場合もあるが、何でもかんでもカードにすることは
考えものだと述べてあるのだ。
そして、極論すれば何でもカードにした方が情報を使いやすいと
述べているのが「知的生産の技術」である。

ここで「思考の整理学」についても少々絡めておこう。
「思考の整理学」では「整理とは忘れること」であるとしている。
対して本著では「整理とは活用できる状態にすること」であると反対する。
要は、整理とは「脳の中にデータ残さないこと」か、
「脳の中にデータ残しておくこと」かの違いである。
私個人の思うところによれば、これは個々人の考え方によると思う。
例えば、人の部屋で考えるならば
使い込んだ物だけしかおかれていないがらんとした簡素な部屋と、
散乱しているが住人が使いやすいように物を配置してある部屋。
どちらを整理されていると思うかであろう。
これは立場、性格によっても変わってくるはずだ。

第一章の時点で本著は従来のこの2つの考え方に対して
反対といえる立場をとっている。
それを前提とした方法論が本著の「三色ボールペン情報活用術」なのである。
だがここで面白いのが、この三色ボールペン情報活用術は
「知的生産の技術」から多大な影響を受けているように見受けられる点である。
三色ボールペン情報活用術とは、
要は主観と客観を三色ボールペンを使用して文章に線を引くことで、
常日頃から分けて考えられるように意識しなさいということである。
実はこの方法は、三色ボールペンの使用は著者独自のものであるとしても
「知的生産の技術」では読書法として記載してあったものだ。
著者は知ってか知らずか「知的生産の技術」の方法を同様の思考を元に
発展させ、読書法に限らず情報活用術として発展させた。
発展させたというよりは時代の流れにのせたという方が
私としては適しているように思う。
また「知的生産の技術」から17年後に発表された「思考の整理学」では
線を引く箇所は違ってはいるが色付きのサインペンを使うという方法を
提示してある。
17年の年月で色付きのサインペンが一般化してきたのかな等と勝手に考えた。
時代の流れによる変化の一端が垣間見えるようで面白い。

何より「知的生産の技術」「三色ボールペン情報活用術」
共に「本(文章)はじっくり読みこむこと」を主張する。
「半分読んだだけとか、ひろいよみとかは、本のよみかたとしては、ひじょうにへたなよみかたである」と述べる「知的生産の技術」と
「一度丹念に読み込んで三色チェックをした資料が、その後自分にとって
どれだけ価値をもってくるか....」と述べる「三色ボールペン情報活用術」
共に大学教授という知の探求に対して貪欲な立場の方であろうからこそ
そう考えているのではないだろうかと。
巷には一分一冊、十分一冊といった速読術が溢れているが
私個人からすれば、読むのは早いかもだが
その後の記憶の定着に時間がかかってるのでは?とか
記憶の定着率はどうなのだろうとか、それは実際に頭に残っていますか?と
実践者に聞いてみたいという希望を持っている。
使えなければ情報ではないと私個人は考えているからだ。
そういう意味では、まだ始めたばかりだが
三色ボールペン情報活用術を実践しつつ
アレンジしていきたいと私は考えている。
何よりボールペンで本を線で引くと後から読み返す時に非常に効率がよいのだ。
ということで、本書、というよりこの方法論はお勧めできる。

最後に、最も心に残った箇所と、疑問点を挙げておく。
最も心に残った箇所は
「繋がらないものを繋げるのがアイデアである」という箇所。
妙に納得した。
かつてコンピュータとカリグラフィーを繋げた偉大なCEOがいたことを
思い出したからかもしれない。
疑問点として、小説等に関してはどうやって
三色ボールペンを引くのだろうと考えた。
もちろん引きようはあるのだろうがいまいちイメージがわかない。
小説の主旨に赤線、面白いと思ったところに緑線といったかんじだろうか。
小説の本文中から抜き出す主旨というものが国語力の弱い私としては抜き出しにくい。
とはいえ、著者は宮沢賢治の作品を三色ボールペンで読み込んだらしい。
一度例としてみてみたいところではある。

◎目次
三色方式とは
Ⅰ なぜ「整理法」ではダメなのか
Ⅱ 三色方式とは何か
Ⅲ くぐらせる—情報との出会い方
Ⅳ 立ち上がらせる—情報を立体化する
Ⅴ 編み出す—情報からアイデアを生む
練習問題
あとがき

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